現在日本では50歳以上の成人、つまりエルダー世代が人口の50%以上を占めているといわれています。
これらの人たちのうち、介護を要する人は1割に満たず、約7万時間の余暇を留保しているとのことであります。そしてかれらが自己イメージとして求めるものは「若さ」であります。
健康で豊かであり、余裕のあるエルダー世代のもとめるものが若さであるとするならば、医療の分野でもこのニーズに対応しなくてはならないでしょう。ここにいま医学歯学領域においても大きな関心を集めている「アンチエイジング」の必要性があると思われます。
いま我々は再生医療などの技術による歯科領域のアンチエイジング医療の研究ならびに研修をすすめています。
歯医者で抜歯することのメリットはそれだけではありません。今まで抜いた乳歯や親知らずは捨てるのみでしたが…実は抜いた乳歯や親知らずの中には、すごいパワーが詰まっています!!それが歯髄(しずい)細胞です。
いわゆる歯の神経が歯髄(しずい)細胞であり、さらにその中には良質な幹細胞が含まれています。
「細胞のタネ」ともいうべき幹細胞。分裂して同じ細胞を作る能力と、別の種類の細胞に分化する能力をもっています。しかし、残念ながら加齢とともに急激に減少してしまいます。再生医療のためには、できるだけ若く健康なとき、つまり乳歯や親知らずから幹細胞を採取するのが大切なのです。
今まで再生医療のために幹細胞を採取するのは、臍帯血や骨髄からが一般的でしたが、それよりも今まで捨てていた乳歯や親知らずから採取する方が身体への負担が軽く簡単、なおかつ機会も多い。また、歯髄細胞は細胞の増殖能力が高く、歯という硬組織にガードされているので遺伝子に傷がつきにくく、しかもiPS細胞を作り出すことも可能なのです!
その他にも…
病態解明(万が一難病になってしまった場合の病気の原因究明に)
治療方法の選択(副作用の少ない効果的な薬品や治療方法の選択に)