医療法人滋誠会訪問歯科診療チームは介護を受けられている方の食支援に力を入れています。
一般的に訪問歯科診療では虫歯の治療や入れ歯治療が中心になります。
しかし色々な疾病による後遺症により様々な食形態に分かれています。
食べる機能(摂食嚥下機能)の低下による嚥下困難により、低栄養や脱水症状になる方も少なくありません。
摂食嚥下障害は、発生頻度の高い一般的な病気(common disease)です。一般に、摂食嚥下障害の原因はさまざまですが、脳血管疾患や神経疾患が多いとされています
一方で高齢者において、この原因や症状は、高齢者の特徴である多く併せ持つ病気や廃用、低栄養や多剤服用などの影響を受けて、複雑化します。
つまり、摂食嚥下障害の原因や症状が過去の病気や現在の病気だけでは説明できない場合も多く、インフルエンザ、風邪などによる体調の不良、骨折や手術などによる入院をきっかけに、一気に顕在化する場合が多いのも事実です。
摂食嚥下障害のある方は、低栄養のリスクが増大します。その主な理由には、以下が挙げられます。
では、低栄養があると、なぜいけないのでしょうか?
第一には、低栄養は、免疫力低下を招き肺炎などのリスクを高めます。
第二には、低栄養によって筋力低下を招き、さらなる嚥下障害を生むことです。
以上のことから、摂食嚥下障害を無視して食事を続けた場合、低栄養のリスクが高まり、さらなる低栄養を招き、肺炎等のリスクを高めることを知っておかなければなりません
私たちは咽喉(のど)の構造上、わずかなタイミングでものを飲み込むようになっています。
一般には、それほど意識する必要はありませんが、摂食嚥下障害になると食べ物を誤嚥(気管や肺に入ってしまうこと)してしまいます。
誤嚥は、同じ“のど”で行われている呼吸と飲み込みのタイミングが合わないこと、そして、口やのどの動きのスムースさの欠如や力不足によって起こります。誤嚥を繰り返すと気管や肺にダメージが与え、「誤嚥性肺炎」を起こすリスクを高めます。
また、呼吸の道を食べ物がふさいでしまった時に呼吸ができなくなります。「窒息」という状況です。窒息によって年間5000人以上の人が亡くなっているというデータもあり、これも摂食嚥下障害が原因となる重大な状態と言えます。
誤嚥性肺炎は、水や食べ物、胃食道逆流物などが誤嚥によって肺に入ってしまい、細菌が繁殖して炎症を起こすことで起こる病気で、高齢者の死亡原因の上位に挙げられる病気ですので、誤嚥しないように工夫する必要があります。
ゴールはお口でしっかり食べること
現状の摂食の状態を検査、考察して最適な食事の取り方を提案します。
実際の食事を回覧し、一人一人にあった食事の取り方を介護士、栄養士、医師と連携し指導します。
誤嚥性肺炎などの予防に最も効果がある口腔の清掃を一人一人に合った方法で管理します。