歯の歯髄組織は、細い管の中に血管や神経繊維などが集まった組織で、迷路のような複雑な形をしています。
初回治療(抜髄)では成功率は95%ぐらいと言われていますが、再根管治療(感染根管治療)の場合、条件により、60~80%程度と言われています。
わずか1mm以下の根管の中の細菌をしっかり除去し再発しないように薬を詰めるには洗浄、消毒に時間と回数が必要となります。
根管孔付近に張り出した象牙質を器具で除去し、ファイルが真っ直ぐに入るように根管内を形成します。
#10等のハンドファイルで根管の探索(ネゴシエイション)、穿通を行います。
#15のハンドファイルまたはプログライダー等で根管孔から根尖方向へファイルを正しく追従させるためのグライドパス(誘導路)を形成します。
日本ではまだ使われておりませんが、すでに海外では機械的な清掃拡大ではなく、超音波と化学的清掃により現在清掃不可能な細い側枝まで清掃消毒する装置が用いられています。
現在当院では日本で初の歯内治療機器の導入に向けて研修を進めております。近い将来さらに成功率を向上させることが可能になります。
またエンドスコープ(内視鏡)を用いた歯内療法も行われています。
⻭冠部の⻭髄(神経、血管を含む組織)を除去して根部⻭髄を保存する方法です。
日本では断髄、海外では cervical puplptomy などと表記されています。
これまで、⻭髄が齲蝕による侵襲を受けると、⻭髄炎が生じて時間の経過とともに重篤になり、その退行性変化が一度起きると悪循環に陥り、不可逆性に進行すると考えられてきました。しかし、近年はこの考え方は誤っていると指摘されています。
すなわち⻭髄壊死は⻭冠部から根尖部に向かい徐々に進行し、細菌感染は壊死部に一致しており、その根尖側組織は健全⻭髄炎組織または炎症を生じた組織であり、細菌感染を認めないことが報告されています。この様な理論的背景から、部分的に壊死した⻭髄を⻭頸部断髄により取り除けば、根尖部の感染を伴わない健全または炎症を伴う組織は治癒すると考えられます。
当院では⻭髄を残すことにより⻭の健康寿命を伸ばす観点から、積極的に⻭頸部断髄法を応用して良い結果を残しております。
患者様の⻭に良いことをこれからも取り入れていきたいと考えております。